犬も猫も歯科疾病は日常で診察する機会がとても多いです。口の中に問題があると食欲に直結し、大切なペットたちの生活に大きな影響を及ぼします。
今回は犬と猫にはどのような歯科疾病があるのかについて、具体例とともに解説していきます。
犬や猫に多い歯科疾患について
・歯肉炎
歯垢や歯石に存在する細菌により、歯茎が炎症を起こすことが原因です。歯茎が赤く腫れる、口から嫌なにおいがするなどの症状があらわれます。
病気が進むと根尖膿瘍という、歯の根元(歯根)の部分に膿がたまってしまう病気が犬歯に多く発症します。
歯肉炎はお口の中を見ることでおおむね診断ができます。軽度の歯肉炎は抗生物質や抗炎症剤の使用で一時的に改善します。しかし原因となっている歯石・歯垢を取り除かなければ繰り返してしまうので、重度の歯肉炎や根尖膿瘍を起こしているときは抜歯の対象となります。
・乳歯遺残
犬や猫も人間同様に、乳歯から永久歯に生えかわります。通常、5~10か月の間で生えかわりは完了するといわれていますが、本来抜けるはずの乳歯が残存したまま永久歯と重なって生えることを乳歯遺残といいます。
特に、チワワやトイプードルなどの小型犬でみられることが多いです。
乳歯が残り続けると歯並びや噛み合わせが悪くなるため、不正咬合に繋がる可能性があります。それに伴い、歯と歯がぶつかって痛みを引き起こしたり、歯が口の中を傷つけたりすることもあります。
また歯並びが悪いと歯垢がたまりやすく、将来歯肉炎になるリスクがあがるため、抜歯が推奨されており、避妊去勢手術で麻酔をかける際に一緒に抜歯されることが多いです。
・口内炎
特に猫によくみられます。猫免疫不全ウイルスや猫白血病ウイルスなどのウイルス感染が関連していると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
歯肉が赤く腫れあがり、強い痛みがでることで食欲不振や、くさいよだれがたくさんでるようになります。抗生剤の投与と口腔内洗浄が効果があります。
重篤な病変と関連している歯は抜歯を行うこともあります。
予防法や注意点
歯肉炎は家庭でのケアがとても大切です。子犬・子猫の頃から歯みがきの習慣をつけ、歯垢がたまらないようにしましょう。それでも歯石がついてしまう場合は、高齢による麻酔リスクの上昇前に、一度麻酔をかけて歯石処置を行うとよいでしょう。
また歯科疾患の中には一見歯には問題が無いように見えても、実は歯の内部や歯根で病が進行しているケースもあるため、ペットの口内に不安がある場合は一度動物病院でしっかりと診察を受けましょう。
まとめ
犬も猫も人と同じように口内の健康状態は全身の健康状態に繋がります。日頃のペットの様子を注意深く観察し、ホームケアを大切にして、口内の健康を保つようにしましょう。
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